梅雨におすすめ 雨にまつわる絵本

どんより、ジメジメ。梅雨の時期は少し、目線が下がってしまうかも。でも、雨音に包まれると、なんだか異世界に来たような、不思議な心地がする。そして、子供にとってはワクワクウキウキのかけらがたくさん転がっている。「雨の絵本」を通して、新たな視点を味わってみてください。

墨一色の世界に、赤いかさがひとつ。文字のない絵本が語る、雨の日の出来事。


『かさ』
太田大八 著 / 文研出版

墨一色の背景の中に、赤いかさをさした女の子がひとり。言葉はひとつもないのに、ページをめくるたびに女の子の心の動きがじんわりと伝わってくる、文字のない絵本の名作です。「大人用の黒い傘の中を女の子の赤い傘が動いていく」というイメージから生まれたこの作品。余白の多い画面からは、雨音や靴音まで聞こえてきそうです。1975年の初版から半世紀近く愛され続ける、日本の絵本史に残る一冊。

雨だから、外へ出よう。びしょびしょの一日が、最高の一日に!


『雨、あめ』
ピーター・スピアー 著 / 評論社

もう1冊、文字のない絵本を。
雨が降ってきた。おねえちゃんとおとうとは雨具に着替え、傘をさして外へ出る——。水たまりで遊んだり、雨水の流れを眺めたり。そこには、雨の中でいきいきと変化するいつもとちがう世界が広がります。緻密に描かれた絵の隅々にまで発見があり、文字がないからこそ好きなように楽しめる。雨を「困ったもの」ではなく「贈りもの」として受け取る子どもたちの姿が、読む大人の心まで解きほぐしてくれます。

雨は、おんなのこのともだちになりたかった。


『おんなのことあめ』
ミレナ・ルケショバー 文 / ヤン・クドゥラーチェク 絵 / 竹田裕子 訳 / ほるぷ出版

おんなのこが道で雨に出会いました。雨はおんなのこと遊びたいのに、家の中には入れません。雨は悲しくなって泣きだしました——。チェコを代表する絵本作家コンビによる、情緒豊かな一冊です。美しい色彩によって雨の感情を表現し、感情によって変わる雨の降り方が描かれています。雨を「天気」ではなく「感情を持つ存在」として描いた視点が新鮮で、読み終えると次に雨が降るたびに空を見上げたくなるような、不思議な余韻が残ります。

雨音が、ひとりの午後をいっぱいに満たしていく。


『あめのひの おるすばん』
いわさきちひろ 文・絵 / 武市八十雄 案 / 至光社

ひとりで留守番をする少女の心細さや微妙な心の揺れ動きを描いたこの作品は、作者自身の幼い日の思い出とも結びついているそうです。絵は可能な限り説明的要素を排除し、少女の心情を象徴的に描くことに徹しています。透明感あふれる水彩の筆遣いが、雨の日特有のしずかな時間の流れをそのままページに閉じ込めたような一冊。雨の絵本を語るうえで外せない、日本絵本の金字塔です。

窓の外の雨が、心の中でどこまでも広がっていく。


『あめのひ (世界傑作絵本シリーズ アメリカの絵本)』
ユリー・シュルヴィッツ 著 / 矢川澄子 訳 / 福音館書店

雨の日の風景が、美しい絵と詩のような言葉で描かれています。窓の外に降り始めた雨は、街をぬらし、川となって海へと流れ、読み手の想像を広大な世界へと誘います。静かに降る雨の音や、水たまりに映る空の輝きが繊細に表現され、詩情に溢れたオノマトペや言葉たちにより、世界の見え方が変わるような心地です。

バケツから飛び出した、ひとしずくの大冒険。


『しずくのぼうけん』
マリア・テルリコフスカ 著 / ボフダン・ブテンコ 絵 / 福音館書店

雨はどこから来るのでしょう?
一滴の水のしずくが主人公となり、水のさまざまな変化を楽しく学べる科学絵本です。バケツから飛び出したしずくは、雲になったり、雨になったり、氷になったりしながら、世界をめぐる大冒険に出かけます。親しみやすい物語の中で、水の循環や自然の不思議をわかりやすく伝えてくれる一冊です。ユーモアあふれる絵と軽快な展開で、科学絵本とはいえ説明調ではないので、自然と子どもたちの好奇心が引き出されます。

水はいつも、旅の途中。


『水の絵本』
長田弘 著 / 荒井良二 訳 / 講談社

「雨」の本ではありませんが、その根源を、どこまでも豊かに描いています。長田弘のやさしく詩的な文章と、荒井良二ののびやかな絵が響き合い、読み手を静かで広がりのある世界へと誘います。「水」をこれほどたくさんの表現で言い表すことができるなんて。声に出して読み、子供たちと対話をしたくなる、特別な一冊です。

子供にとっての雨は、私たちが見ているそれと違うはず。
そして、大人になった私たちは、必ず「雨」の思い出が胸の奥にあるのでは。
少しのんびりと、想いをはせるきっかけとなりますように。

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