どんより、ジメジメ。梅雨の時期は少し、目線が下がってしまうかも。でも、雨音に包まれると、なんだか異世界に来たような、不思議な心地がする。そして、子供にとってはワクワクウキウキのかけらがたくさん転がっている。「雨の絵本」を通して、新たな視点を味わってみてください。
墨一色の世界に、赤いかさがひとつ。文字のない絵本が語る、雨の日の出来事。

雨だから、外へ出よう。びしょびしょの一日が、最高の一日に!
『雨、あめ』
ピーター・スピアー 著 / 評論社
もう1冊、文字のない絵本を。
雨が降ってきた。おねえちゃんとおとうとは雨具に着替え、傘をさして外へ出る——。水たまりで遊んだり、雨水の流れを眺めたり。そこには、雨の中でいきいきと変化するいつもとちがう世界が広がります。緻密に描かれた絵の隅々にまで発見があり、文字がないからこそ好きなように楽しめる。雨を「困ったもの」ではなく「贈りもの」として受け取る子どもたちの姿が、読む大人の心まで解きほぐしてくれます。

雨は、おんなのこのともだちになりたかった。

雨音が、ひとりの午後をいっぱいに満たしていく。
『あめのひの おるすばん』
いわさきちひろ 文・絵 / 武市八十雄 案 / 至光社
ひとりで留守番をする少女の心細さや微妙な心の揺れ動きを描いたこの作品は、作者自身の幼い日の思い出とも結びついているそうです。絵は可能な限り説明的要素を排除し、少女の心情を象徴的に描くことに徹しています。透明感あふれる水彩の筆遣いが、雨の日特有のしずかな時間の流れをそのままページに閉じ込めたような一冊。雨の絵本を語るうえで外せない、日本絵本の金字塔です。

窓の外の雨が、心の中でどこまでも広がっていく。

バケツから飛び出した、ひとしずくの大冒険。
『しずくのぼうけん』
マリア・テルリコフスカ 著 / ボフダン・ブテンコ 絵 / 福音館書店
雨はどこから来るのでしょう?
一滴の水のしずくが主人公となり、水のさまざまな変化を楽しく学べる科学絵本です。バケツから飛び出したしずくは、雲になったり、雨になったり、氷になったりしながら、世界をめぐる大冒険に出かけます。親しみやすい物語の中で、水の循環や自然の不思議をわかりやすく伝えてくれる一冊です。ユーモアあふれる絵と軽快な展開で、科学絵本とはいえ説明調ではないので、自然と子どもたちの好奇心が引き出されます。

水はいつも、旅の途中。

子供にとっての雨は、私たちが見ているそれと違うはず。
そして、大人になった私たちは、必ず「雨」の思い出が胸の奥にあるのでは。
少しのんびりと、想いをはせるきっかけとなりますように。

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